独活小屋の中

奥の方で中井大介さんが収穫作業をしておられます。分かりますか?
独活を持った腕が出ています。

筵の下は、一番下に埋め込んだ独活の株→干し草→藁→干し草→藁と交互に七層に積み重ね、その上に藁の束ねたものを置き、その上にずっしり重い石を置きます。発芽が始まると石は取り除きます。
湧き水を掛け、干し草・藁の発酵を促し発酵熱で温度を上げて独活に「春が来た!」と思わせて芽吹かせる江戸時代から伝わる伝統的な促成栽培です。
ホルモン剤も電熱器も使わない日本で唯一の軟白うどの生産です。温度が低すぎては発芽しなかったり遅れたりします。高すぎると病気が出ます。独活の発芽が揃って、干し草・藁を一斉に押し上げるように発酵温度の調整の水かけ・敷藁の置き変えなど微妙な感覚の作業がいります。
近年の気温の変動でこの調整が大変難しい。気候変動に対する新しいチャレンジもなさいました。今年も胃の痛くなる夜眠れない日が続く、ゲロを吐きそうな日々を過ごされたそうです。
そんな日々をそれでもたくましくユーモア混じる
FBを綴っておられますのでよろしければご覧ください。
ただ一人の三島独活農家の後藤さんが止めると聞いて、中井さんご夫妻が三島独活の伝統的農法を継承しようと考えた時、周りの人たちはみな「大変だからやめとけ」といったそうです。やめとけと言った人は親の大変さを見てきたからそういってくれた。
後藤さんにやれるかきいたところ「やれる」と言われたそうです。
奥さんの優紀さんのお父さんに相談したところ「やめろと言う人はやってない人がいわはる。やってる人がやれるというならやれるんじゃない」といわれたそうです。
それを聞いた時、私は凄いお父さんだなと思いました。優紀さんはお父さんの血を濃く引いているような気がしました。
会社を辞めて後藤さんに弟子入りして一年。独立なさいましたが、言われたようにはできなかったそうです。
気候変動が激しくなり、後藤さんが経験したことのないことが起きるから分からない。
一年目の収穫は散々だったそうです。このままでは三島独活の伝統農法は続けられない。残すために考えたのが
株主制度でした。
室の中で独活が一斉に芽を出し、揃って干し草や藁を押し上げる。
三島独活は独りじゃ活きられへん
そして、人も独りじゃ活きられへん
今回独活と一緒にいただいたご挨拶文を書き写します。
「きっと繋がりは育っていますよ」今年はだめかもしれないと思っていた時、ある方にかけていただいた言葉が心に残っています。私たちは、誰一人、独りじゃ活きられないし、誰もが繋がりの中で生きている分、何気ない選択が、巡り巡って誰方何かを傷つけたり、苦しめることがあります。反対に、私は人や自然との繋がりが育てば、もっと人にも自然にも優しい選択が連鎖し、今より素敵な世界が広がって行くんじゃないかと希望を感じています。みなさんとの繋がりに私たちが支えられたように、独活を取り巻く繋がりが、人や自然とのつながりを育み、私たちを取り巻く世界を少しでも明るくしてくれることを願っています。
今年も、応援いただける皆様に春をお届けでき、とても幸せです。
これからも、次に向けて、全力を尽くしていきたいと思います。