かび付した節を日に干します。
今回はタイコウ 稲葉泰三さんも一緒に

並べた節を見ながら稲葉さんと目利き見習人が話をしているのに耳を聳てます。
「これは○○さん、これは○○さんにいいですね」
お客さんがどんな出汁を求めているか、それに応じて節を選んで
届けるのです。
「鰹節が出過ぎてはいけない処」
「利かせたい処」などなど。
節をみてどんな出汁がひけるのか稲葉さんは分かるんです。
節を見れば元の鰹がどんな魚体だったかも分かるのです。
「宮下がこんだけ丁寧に作っていても節(姿節)にならないものもある。魚の質が違うから仕方ないこと。
それを俺は全部買う。宮下がつける値段で買う。
だって生産者がいなければ俺たちはないわけだからね。
それを俺が値打ちを上げて売る。」
値打ちを上げて売るということは、
宣伝文句やパッケージで高級感を出して売るってことじゃないですよ。
晴海に届いたかつお節をそのまま消費者に流すのではありません。
晴海のタイコウの前で日に干し、選別し、日に干し、
本節に選んだ中から顧客の要望に応じて届ける。
本節から外れたものを平均になるよう合わせて削り節製品にしていく。
各地で出汁とり教室を開き、鰹節のこと、本物の出汁味を伝えていく。
今から30年前は近海1本釣りの鰹節は普通だったそうです。
でもあっという間に巻き網がほとんどとなり、近海1本釣り鰹節の割合は1%以下だそうです。
その1%以下にこだわり続ける宮下さんと稲葉さんです。
「巻き網は旨かないんだよな」と。
「素材を超える加工方法はありません」と。
しかし、1本釣りの鰹が手に入らないこともあります。
その時には巻き網物を使うこともあります。その場合は、タイコウさんはきちんとお客さんに伝えています。
30年前、この転機になる時代はどんな時代だったのかな〜と想いを巡らしています。
みなさん、どんな時代でしたか?
30年間、どのように世の中は変わってきたのでしょう。